書評:バビロンの大富豪「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか

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自分の趣味の一つに読書があるのですが、投資を始めるまでは、お金関係の本を読むことは一度たりともなく、小説や漫画を読むのが好きでした。しかし、投資を始めたことで、著名なブロガーさんが紹介しているオススメの本をいくつか読み、非常に感銘を受け、他の皆様にも広く紹介したいと思いました。

第一弾として、人生の早い時期にこの本を読んでおくことが、経済的な成功を得るために非常に重要と感じた、「バビロンの大富豪「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか」をご紹介させて頂きます。

オーディオブックもあるようです。こどもに語り聞かせたりするにはこちらもよいかもしれませんね。

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この本の概要

この本は、以下の七つの主張が、バビロンで最も裕福なアルカドという人物から語られるとともに、それを補完するエピソードが記されているという構成となっています。それらすべての主張が当時~今に至るまで、途方もない時を経ても、何ら変わることのないお金についての極めて重要な原則であることを強く感じました。

そして、お金だけでなく、よりよく人生を生きるという点においても、とても印象的な含蓄ある言葉に満ちていたと感じました。

投資にチャレンジする前にこの本をぜひ一読し、どのような人生を歩みたいか、どのように投資にチャレンジしていくかを自問自答してみることをオススメします。

第一の知恵:稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして取っておく

稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして取っておく。稼いだ金額がいかに少なかろうと十分の一より減らしてはならない。

とても当たり前のメッセージではあります。しかし、意外とこれが実践できない結果、貯蓄ができないのです。

これを実践できるとどうなるでしょうか。月収手取り15万円の人がいるとしましょう。かなり厳しい給料ですね。ただし、上記の原則を忠実に守っていけるならば、1ヶ月につき1万5千円の貯蓄が可能です。これは1年間で18万円、5年間で90万円、10年間で180万円、20年間で360万円、30年間で540万円の貯蓄が可能となることを意味します。そのような厳しい給料でも上記原則を忠実に守ることで、18才で高卒後に働きはじめ、昇給が無かったとしても、28才の時には180万円、38才の時には360万円、48才の時には540万円、58才の時には720万円、60才(=定年)の時には756万円の貯蓄が可能となるということには多いに勇気づけられるのではないでしょうか。(実際には生涯にわたってそこまで低賃金のままということは考えにくいですし…)

第二の知恵:自分の欲求と必要経費とを混同するべからず

私たちがそれぞれ必要経費と呼んでいるものは、自分で気をつけていない限り、必ず収入と等しくなるまで大きくなってしまうものなのです。

必要な経費と自分自身の欲求とを混同してはいけないのです。

(中略)

うーん。心にグサッとくる言葉ですね。若いころに比べて手取りの給料は増えたはずなのに、貯蓄にまわせる金額はさほど増えていないというのはよくあるパターンかと思います。

とはいえ、必要経費と自身の欲求の区分けは誰しも悩ましいもの。これについての方法論も本書に記載されていました。

慣れてしまっている生活習慣をもう一度よく見直してごらんなさい。これまでは容認していた支出が、よく考えれば削減できるか、失くしてしまうことだってできることが、実に多いと分かるはずです。

(中略)

そして、金を使いたいと思うものをひとつひとつ粘土板に刻むのです。その中から必要なもの、収入の九割の支出の中でまかなえるものを選ぶのです。ほかのものは消してしまいなさい。消したものは叶えられないままにしておくしかない大部分の欲求に入るもので、それをくよくよ考えても仕方のないものなのです。

時代が違うので粘土板に刻みはしませんが、紙に書きだしたり、グーグルスプレッドシートやエクセルにリストアップしてみたいと思います。どこかで自分自身のリストも公開したいと思います。

第三の知恵:貯めた資金は寝かさずに増やすべし

人間にとって財産とは、財布の中に持っている現金ではありませんぞ。しっかりした定期的収入こそが財産なのです。財布の中に絶えず流れ込み、いつも中身をふくらませてくれる金の流れこそが財産なのです。誰もが欲しがるのは、実はこの流れなのです。これこそ、みなさんひとりひとりが欲しがっているものではないですかな。仕事をしていようと、旅に出ていようと関係なく入ってくる収入なのですからな。

このような収入として、本書では、お金を貸して金利収入を得るという事例が紹介されています。バビロンが栄えていた当時は、そういったシンプルな資産運用手法しかありませんでしたが、それでも複利の力を適切に発揮することで、資産運用に大成功している事例が紹介されています。

ごらんあれ、私のこうしたささやかな稼ぎが、”金の奴隷”の大群を生むことになりました。そのひとつひとつが働いて、さらにまた金を稼いでくれます。その元手の親が働いてくれているうちにもその子供が、さらにその子供の子供も働いてくれます。それらの力を合わせた定期的収入のまとまりが大きなものになっているだけなのです。

(中略)

貯めた金は最後の一銭にいたるまで働かせること。さすれば畑の家畜のように仲間を増やし、あなたの財布には途切れることなく富が流れ込んでくるのです。

幸いなことに現代では、インターネットの発展とともに、金融サービスも多様化し、個人が積極的に資産運用の様々な選択肢を取ることができるようになりました。このような時代において資産運用を積極的に行わない機会損失は非常に大きくなっており、積極的な資産運用による複利効果の追及が重要であることを改めて痛感しました。

第四の知恵:損失という災難から貴重な財産を死守すべし

健全な投資について、まず第一の原則は元本を確保することです。

この点は、誤解を招きやすいと感じます。この主張を見た人は「ほら、やっぱり、積極的な資産運用でリスクを取るのではなく、元本確保型商品で満足するしかないじゃないか」と思うのではないでしょうか。

しかし、この知恵の本質は、元本確保型商品以外を否定するものではないと思います。お金を貸すという行為自体を発言者が否定していないからです。以下のように、自らが投資する対象の性質やリスクをきちんと見極め、身の丈にあった節度のある投資を心掛ける重要性を説いているのだと思います。

現代の状況に照らし合わせれば、これは、投資対象の正確な理解、分散化によるリスクの低減、投機的行為の自粛といったことにつながると思います。

みなさんの財産を手放す前に、それが安全に手元に取り戻せるかどうか、ひとつひとつ慎重に確認することです。手早く財産を作りたいという空想のような望みのために、道を誤ってはいけません。

(中略)

そして、どの分野に投資するにしても、必ずつきまとう危険性について、よく調べておくことです。

仮想通貨という投機的側面の強い対象にも投資をしている自分には、耳が痛い話でもあります…

第五の知恵:自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ

現代の日本では必ずしも当てはまらないかもしれません。安い家賃の賃貸物件をしっかり探し、必要に応じて引越も辞さないミニマムな暮らしが(特に一人暮らしの)若者にとっては最適解だと思うからです。

しかし、住環境が改善されることで人生に与えるプラス影響は非常に大きな効果を発揮しますし、月当たり支払い額が同程度ならば、一生払い続ける賃貸よりも払い終わる未来のあるローンのほうが良いのも当然ですし、持ち家のほうが税金の優遇等で有利となる点も否定できません。

そういった点もトータルで考えてのマイホーム購入は確かにメリットがあると感じるので、そういった点も踏まえて判断すると、現代にも通じる内容だと確かに感じました。

第六の知恵:将来の保証を確実にすべく、今から資金準備に取りかかるべし

将来に備えて相応の所得を用意しておくこと、たとえあなたが死んでも家族が快適な生活を続けられるように準備をしておくこと。

将来や不測の事態への備えの重要性を主張しているメッセージですね。なお、ここでも、複利と時間の組み合わせで、少額の積立でも立派な財産形成となりうることが改めて説明されています。現代流ですと、iDecoや積立NISAの活用による長期分散投資による老後資金準備の重要性につながる話でしょうか。

少額の金でも”定期的”に積み立ててゆけば、驚くほどの収益が得られるのであれば、『年老いたときのための金』や『家族を守る財産』を確保する余裕がなおい人間などいなくなるのです。商売や投資がどれほど繁盛していても、この原則だけは変わらないのです。

(中略)

いつの日にか賢明な人たちによって、死に備えて保証できるような仕組みが編み出されるはずだ、と私は確信しています。その中でたくさんの人々がほんの少しの金を定期的に払い込むと、集まった資金によって、あの世へ行った会員それぞれの家族がかなりの金を受け取ることができるのです。

また、当時は存在していなかった保険サービスの登場が予言されており、当時の知恵や想像力の豊かさを感じさせてくれます。

保険もうまく使えば将来や不測の事態のリスクを極めて効果的に低減してくれる効果がありますが、複雑な仕組みの裏で、多くの手数料が引かれたり、元本割れのリスクがあるものも多くありますので、現代のわれわれは投資商品と同じかそれ以上に注意をはらって有効活用する必要があります。

第七の知恵:明確な目的に向かって、自己の能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし

  • 自らの能力を開発すること
  • 仕事の技量を高めること
  • 勉強して考えを深くすること
  • 自尊心を持って次のような行動を取ること
    • 借金は能力の及ぶ限り、なるべく早く返すこと
    • 支払い能力を超える買い物はしないこと
    • 家族の面倒を見て、家族から慕われ、尊敬されるよう努めること
    • 遺言書をきちんと作っておくこと。神に召されたとき、その遺産配分は適切で、しかも各人の名誉を重んじる形でなされるようにしておくこと。
    • 親しい人には思いやりのある態度で接すること。運命の巡りが悪く、傷ついたり打ちのめされたりした人へ同情を寄せ、無理のない範囲で援助すること

より良い人生をおくるためのエッセンスとでも呼ぶべき項目で当たり前のことながら非常に感銘を受けました。

全体を通しての所感

単なる教訓だけでなく、それに付随する物語が等身大でシンプルでわかりやすく、かつ暖かい雰囲気を感じさせるものであり、心にすっとしみわたってくるような印象でした。はるかな時代を超えて、ここまで説得力のある文章があるということに感銘を受けるとともに、これらをよりどころとして、現代のお金と向き合っていきたいと思いました。

こどもに語り聞かせたりするにはこちらのオーディオブックもよいかもしれませんね。

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