書評:お金は寝かせて増やしなさい

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インデックス投資ブログとして有名な、「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」の管理人の水瀬ケンイチさんが単独で出版された書籍ということで、非常に注目していました。タイトルはずばり「お金は寝かせて増やしなさい」と、とてもキャッチー!この度、年末年始にじっくり読み込んでみたので、所感をまとめてみます。

結論としては、投資初心者にとって極めてオススメの本で、「確定拠出年金が勤め先の会社で始まるけどよくわからない。どうしよう?」といったかたや、「NISAやiDecoという制度を最近よく聞くけどどんな制度なんだろう?始めたほうが良いのかな?始めるとしたらどんなふうに?」といった方に、極めてオススメできる良著と感じました。

以下に詳細の所感をまとめてみます。

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良かったところ

インデックス投資の王道

インデックス投資の王道である、以下の投資手法が、わかりやすく、読みやすく、ちょっとしたユーモアとともに紹介されており、非常に好感が持てました。

国際分散投資

「卵はひとつのかごに盛るな」とよく言われる考え方ですね。先進国株式、新興国株式、国内株式への分散投資がわかりやすく紹介されていました。

近年、世界各地のつながりがITで深まり、地域ごとの相違が減って、国際分散の効果が減ってきているという話もききますが、いまだに国際分散投資の価値は多いにあり、米国株投資に偏重気味の自分としては、非常に考えさせられる内容でした。

実際、自分は、プライベートの資産運用では、米国株式市場への集中投資を行っていますが、確定拠出年金では、先進国株式、新興国株式、国内株式の国際分散投資を行っています。いずれ、両者のリターンを比較してみるのも面白そうだな…と思いました。

株式と債券の分散投資

著者の水瀬ケンイチさんは債券への分散投資を非常に重視しているように見受けられました。

自分は、債券よりも株式のほうが長期的なリターンが優れていると考えており、債券をこれまで軽視していました。

しかし、債券は株式市場の暴落時の資産推移に大きな安定性を加えてくれるはずで、さすがにリーマンショック等の大暴落を生き延びてきたベテラン投資家ならではの堅実で安定感のある投資方針だと考えさせられました。

ドルコスト平均法

インデックス積立投資の定番の話ですね。水瀬ケンイチさんは一月一回の手動積立を実践しているとのことです。

自分自身は、2017年はNISA口座では米国株ETFに投資するときに、手数料負けしないために、年初にまとめて4銘柄を30万円ずつ購入したという形で、完全な形でドルコスト平均法を実践できていませんでした。(幸いながら年初以降、一貫した上げ相場が実現されたので、それによって痛い目には合わずに済んだのですが…)

しかし、相場の過熱感が感じられる今年は、有望な投資信託(楽天バンガードファンド)が新設されたこともあり、毎月特定日に10万円ずつ積立投資をしていこうと思っています。自分はものぐさな性格故、証券口座への入金のみ手動で、投信の買付は完全自動積立にしました。

生活防衛資金の重要性

著者の水瀬ケンイチさんは、この生活防衛資金を非常に重視していることが伝わってきました。2年分の生活費を確保することが望ましいと書かれており、10万円/月と控えめに生活費を見積もっても240万円の生活防衛資金を確保することが望ましいということになります…。

正直、自分自身の状況としては、資産残高自体の大きさが(悲しいことに…)控えめであることから、かなり生活防衛資金を控えめにして、リスク資産へ割り振っている比率が高く、ベテラン投資家の言葉は非常に耳に痛いです。

債券への投資の考え方と手法

債券に関する投資の考え方と手法については、これまであまり自分は正確に理解できておらず、とても参考になりました。

非課税口座では債券クラスではなく株式クラスを運用すべき

債券クラスは株式クラスに比べリターンが控えめのため、利益に対する非課税優遇措置が取られている口座では債券クラスを運用せず、株式クラスを運用すべきということが主張されていました。いわれてみれば、「確かに!」という内容です。

債券はインデックスファンドではなく生債券で買うべき(国内債券)

特に国内債券は非常に利回りが低く、債券のインデックスファンドはただでさえ少ないリターンを手数料が削ってしまう上に、現状の超低金利から利上げの際には既に発行されている債券は値下がりが避けられないことから、債券のインデックスファンドは現状極めて微妙な立ち位置で、債券は生債券で買うべきであることが主張されていました。

こちらもひとつひとつ考えれば確かにその通りの話ですね。

自分は、企業型確定拠出年金で、債券のインデックスファンドにも投資をしていたのですが、この本の内容を見て、債券は確定拠出年金やNISA口座では運用せず、もし投資するなら、生債券をネット証券で購入する形に方針変更することを検討しています。

外国債券は一見高利回りで魅力的だが…

国内債権の異常な低利回りに比較して、外国債券(先進国、新興国)の利回りは高く、魅力的に見えます。自分自身もそのように感じたため、確定拠出年金の債権クラスの中に、先進国債券、新興国債券を限定的ながら組み込んでいました。

しかし、この本の以下の主張を受けて、債権クラスとしては、今後投資する場合、国内の生債権のみに投資するよう方針変更を検討中です。

ポートフォリオに安定性をもたらすという目的に対しては為替リスク等のリスクが増え、逆効果になりかねない

債権クラスと株式クラスとを組み合わせた分散投資における債権の役割が、資産の安定性を担保するためであると捉えるなら、為替リスクを抱え込んでしまうという負の側面があることが説明されていました。

長い目で見ると高金利な通貨はインフレ化するため低金利な通貨との優劣はあまりない?

この概念は自分自身あまり正確に理解できていないと感じる部分です。様々な部分で目にする一般的な主張である点は理解できるのですが…。しっくりくる理解ができたら、改めてきちんと説明したいですね。

証券会社や銀行や保険会社と付き合うときの心構え

証券会社や銀行や保険会社が利益を上げる仕組みそのものが、顧客である個人投資家の目的と相反している現状がわかりやすく示されていました。対面型の証券会社、銀行、保険会社と資産形成や保険についてのやり取りをする場合は、それらの基本前提を頭の片隅に置いたうえで、はっきりとした態度で自らがカモでないことを示しつつ臨みましょう。

というよりも、基本はネット証券である楽天証券、住信SBI証券、マネックス証券の3口座を開設しておくのが良いでしょう。

この本の中では、楽天証券、住信SBI証券がオススメされており、非常に好感が持てました。

リーマンショックを代表とする暴落期への心構え

著者の水瀬ケンイチさんは、リーマンショックや様々な暴落期を乗り越えて、ここまで資産運用の道を続けてこられたということで、暴落期にドロップアウトしないための様々な心構えや投資手法がわかりやすく、説得力のある形で説明されていました。

自分自身、まだ投資を始めてから一度も暴落期を経験しておらず、暴落時に愚かな行動を取らないよう、この本のような良い本を読み、しっかり自分なりに理解をして、暴落時にも冷静に現状と同じ投資行動を取れるよう(=淡々と積立てられるよう)、投資哲学をしっかりもっていきたいと思います。