書評:敗者のゲーム

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書籍紹介の第四弾です。

このブログではインデックス投資を中心にした戦略をご紹介しています。インデックス投資はシンプルで、「国際分散投資可能な低コストのインデックスファンドを少しずつ買い続け、それらを永久に保有し続ける」という、ただそれだけです。

しかし、簡単なように見えて意外と簡単ではありません。例えば、今年(2018年)の2月初から米国株式市場が急落し、リスク資産を保有し続けることができず狼狽売りをしてしまった投資家もかなりいるでしょう。正直、自分自身も売りたくなる気持ちをぐっとこらえました。インデックス投資という手法に本当の意味で腹落ちしていないと、いざ暴落局面になると含み損の拡大に耐え切れず、リスクから逃げ出したくなってしまう本能に抗えないのです。

そういった残念な状況を避けるためには、そもそもリスクを自分が許容できる範囲に設定しておくとともに、インデックス投資の良さをしっかり納得しておくことがとても重要です。そのためには、インデックス投資家のブログを読んだり、時を超えて読み継がれている良著を読んだりすることがオススメで、今回の書籍紹介でも、そういった良著の中から一冊ご紹介させて頂きます。チャールズ・エリス氏の「敗者のゲーム〈原著第6版〉」です。

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チャールズ・エリス氏とはどんな人物?

チャールズ・エリス氏はインデックス投資を語る上で欠かせない人物です。インデックス投資の黎明期から、インデックス投資の理論面での優位性に着目してきた方で以下のような経歴を辿っています。

  • ハーバード・ビジネス・スクールを卒業
  • その後、資産運用業界でアクティブな資産運用の実務に携わる傍ら、ニューヨーク大学で投資理論(インデックス運用理論を含む)を学び、博士課程修了
  • 投資顧問、投資銀行へのコンサルティング業務等を行うグリニッジ・アソシエイツ社を設立
  • 全米公認証券アナリスト協会会長などを歴任
  • 本ブログでも取り上げているバンガードグループの社外取締役

大学卒業後、実務としては資産運用業界でアクティブ運用を行いながら、研修としてニューヨーク大学でインデックス運用理論を含む投資理論を学び、その結果、インデックス運用の優位性を少しずつ確信してきた人生の道のりが大変興味深いですね。名実ともに、米国運用界の理論的支柱の一人といえる方でしょう。

内容

敗者のゲームというキーワード

内容自体は、長期の株式クラスへのインデックス投資の優位性を王道的に説く内容で、すでにインデックス投資を知っている投資家にとっては目新しさはないかもしれません。しかし、「敗者のゲーム」というキーワードが読後に非常に印象に残りました。おそらく自分は一生忘れることはないでしょう。

前書きの後の第一部の第一章にこの観点についての説明があります。引用するには少し長く、要約すると元の文章の良さが伝わらない気がしたため、あえてここでは「敗者のゲーム」という概念を説明しないことにしますが、近年のテクノロジーの発達や世の中の変化によって、あらゆる事柄が「敗者のゲーム」と化し、かつては専門家が大きな優位性を持っていた領域でも、だれもがそこまで大きな専門性を獲得せずとも、そこそこ良い結果を得られるようになってきたのは確かです。

そして、これは、資産運用の業界でも例外ではなく、結論として「インデックスファンドへの長期投資が最適解」ということが、本書全体で理論的に徹底的に主張されています。

著者の確信に満ちた主張と論理展開の雰囲気がいい

何度も繰り返しますが、内容自体は、インデックス投資をご存知の方にとってはありきたりのものです。しかし、文章の行間からにじみ出てくる確かな自信は、旧来の金融業界のアクティブ運用と新しい学術的理論から生まれたインデックス運用の両方の世界にしっかりかかわった著者だからこそ生み出せる雰囲気を感じて、今後もインデックス投資を淡々と続けていこうという気持ちになれること請け合いです。

全体を通しての所感

非常に良い本ではあるのですが、用語が少し難しめだったり、アメリカ特有の説明があったり等といった観点で、入門書としてオススメするには少し難しいです。しかし、本ブログでもご紹介させていただいた、「お金は寝かせて増やしなさい」のような、非常にわかりやすい入門書を読んだ後に、それら書籍の源流となった考え方に触れ、インデックス投資に対する理解を深めて、より堅実にしっかりと資産運用を進めていくには非常に有用な本だと思います。ぜひ一読をオススメします。

投資入門時のオススメ本は、やはり、本ブログでも紹介させて頂いた「お金は寝かせて増やしなさい」です。なお、この本の中でも「敗者のゲーム」の一説が引用されており、この「敗者のゲーム」という本が、インデックス投資の理論的な支えとなっていることがよくわかります。本ブログでも書評を書かせて頂きました。

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