ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(1)

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自分は、一日の始まりや、休憩時間にスマホのGoogle検索アプリの下のほうに表示されるおすすめwebページを見るのが好きです。Googleにて把握されている自分個人の属性や好みは、怖いほど的確で、どのwebページも非常に興味をもって読み進められ、参考になる情報が多いです。

今日は、ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズのとある記事が表示されており、試しに読んでみたところ、非常に大きな違和感を感じたので、自分の考えを整理しつつ、感じたことをまとめてみたいと思います。

なお、まとめてみたところ、思いの他、大きな分量になってしまったので、何回かの記事にわけようと思います。

対象記事はこちらです。なお、当ブログではこの記事の内容を鵜呑みにしてはいけないと考えていることを強く明言しておきます。

以下では記事中の文章を一部引用させて頂き、それに対する自分の考え(=反論)をまとめさせて頂きます。

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タイトルについて

金融庁は本当に「個人投資家の味方」なのか?

まず、記事のタイトルですが、このようなタイトルがつけられていました。

「金融行政の強烈な違和感 金融庁は本当に「個人投資家の味方」なのか?」

正直「えっ?」という気持ちになりました。近年の金融庁の取り組みは、NISA、ジュニアNISA、積立NISA等といった具体的な大胆な政策をどんどん打ち出してきており、それらは個人投資家にとって極めてメリットとなる部分が多いと感じていたので、どこに個人投資家にとって敵となりうる要素があるのだろう?と首をかしげる気持ちになりました。(釣りとしては極めて効果的と感じますが…)

記事の内容について

毎月分配型投信への金融庁の厳しい姿勢についての愚痴

記事の内容の一つに、毎月分配型投信の販売不振や、金融庁から示された厳しい見解に対する愚痴がありました。

投資信託であれほどまでに高い人気を誇っていた「毎月分配型」の販売不振・資金流出が顕著になっている。決してニーズがないわけではない。銀行の金融商品販売の現場では「毎月分配型」のニーズは根強いのであるが、我々販売サイドに言葉にできない自粛ムードが広がっており、もはや毎月分配型は「売りたくない商品」といっても過言ではない状況なのだ。

(中略)

「毎月分配型投信」では資産形成はできない、顧客本位ではない商品だ……金融庁にそう切り捨てられてしまっては、たとえニーズがあっても積極的に売れないのが実情だ。

しかし、毎月分配型投信についてはデメリットが極めて明確であり、個人投資家の投資リテラシーの低さにつけこんで、運用会社、販売会社が手数料収入を上げるためだけの仕組みと感じます。以下に毎月分配型投信について感じることをまとめました。

毎月分配型投信とは

毎月分配型投信は、名前の通り毎月分配がある投資信託です。退職した高齢層を中心に、退職金をまとまった金額分、毎月分配型投信に投入して、月給と同様に分配金をもらいつつ、残額は資産運用したいという需要は確かにあるのだろうと感じます。

毎月分配型投信の問題点とは

しかし、問題はそんな需要とは別次元のところにあります。

高頻度配当による手数料、税金効率の悪さ

通常の投資信託は年1~4回の配当です。配当を出す際には、投資信託の運営元は運用中の元本を売却したり、オプション取引を行ったりするため、手数料が発生するとともに、利益が確定した場合には税金を支払わねばなりません。

これが、毎月分配型投信の場合、12回配当があるわけで、単純に見積もっても、売買頻度は3~12倍となるわけです。これは、乱暴に言ってしまえば、手数料や税金も3~12倍になりうるということを意味します。

高コストな金融商品はそれだけで、非常に不利な金融商品となるため、毎月分配型投信はそもそも仕組上、不利なのは自明の商品と言えるわけです。

タコ足配当による元本取り崩し

上記のようにそもそも高頻度配当による高コストという問題点だけでなく、もっと深刻な問題点があります。それは、元本を取り崩して配当を支払う傾向があるということです。そのようなことが起こる理由を少し整理してみます。

高い配当利回りをうたい文句に投資家を惹きつけるため

高い配当利回りの投資信託には人気が出やすいです。わかりやすく数字で比較ができる指標なので当然ですね。

配当利回り以外にも、そもそもの投資信託の基準価額にも注意を払う必要があるのですが、異なる投資信託同士を比較するのは意外と難しいものです。

そういった点で、高配当利回りを表面上演出することと基準価額の継続的な維持・上昇を天秤にかけ、基準価額を棄損しても、高配当利回りを実現しようとする投資信託が多いのが現状です。

単位価格高騰による不人気化を避けるため

投資信託は人気が高まると資金が多く流入し、購入単位1口当りの価格が高騰します。そしてあまりにも価格が高騰すると投資信託の人気が落ちてしまうという状況があります。

そのような事態は投資信託の販売側としては販売手数料収入が減ってしまうので望ましくありません。そこで、資産の中の、運用益の部分についてだけでなく、元本に相当する部分についても、資産を売却して現金化し、元本を取り崩して配当を出してでも、購入単位1口当りの価格を下げようとするという行為が未だに行われているのです。

投資は以下2点が鉄則です。

  • 元本を着実に積み上げていくこと
  • 複利運用すること

にも関わらず、元本を取り崩して、配当を外部に出してしまい、複利運用の機会を自ら放棄するというのは、愚行以外の何物でもないと断言できます。

そのような投信の運用元、販売元にとっては、多くの投資家が投資信託を購入してくれることで、手数料収入を得られるため、金融機関にとっては非常にメリットが大きい状況なのは確かです。ただし、それは、完全に投資家の利益と相反するメリットであり、その点を全力で追及しに行く姿勢に対して、投資家サイドから批判的な意見や目線が強くなるのは当然でしょう。

タコ足配当の行き着く先は償還そして回転売買の餌食に

そのようなタコ足配当を続けた最終的な結果は目に見えています。初期にその投資信託を購入し、後続流入してきた方々の資金までも配当として受け取れた運の良い方はプラスリターンでしめくくることが可能かもしれませんが、後発流入してきた方で、配当もさほどもらえず、元本にも損失を受けた状態で償還を迎えてしまった場合等は、目もあてられない状況となってしまうでしょう。

さらにあくどいと感じるのは、上記のような状況でパフォーマンス悪化した後は、別の投資信託に乗り換えさせる回転売買の餌食になりやすいという点です。乗り換え時には、乗り換え前の投資信託での信託財産留保による手数料と、乗り換え後の投資信託への購入手数料が発生します。これは、投信の運営元や販売元にとっては極めて美味しい状況ですが、投資家にとっては運用コストがかさむだけです。

伝統的に、日本の投資業界では、投資信託の回転売買で手数料を荒稼ぎすることを重視した営業活動、商品開発を進めてきた経緯があり、現在、金融庁はそういった点をしっかり是正できるよう、明確なメッセージを大胆に打ち出しながら業界に変革を迫っており、投資家目線からは極めて頼もしいと感じます。

ある種の合法マルチ商品に見える

社会問題として取り上げられる、マルチ商法、ねずみ講、ポンジースキームと呼ばれる手法と類似点を感じます。マルチ商法の恐ろしさは広く消費者に知れ渡っていると思うので、毎月分配型投信をすすめられたときは、その投資信託がマルチ商法かもしれないと思って警戒するくらいの強い警戒心が必要です。

毎月分配型投信で有望なものは?(ETFがオススメ)

さんざん、毎月分配型投信のデメリットを並べましたが、年金的に使うならば毎月ある程度安定した額の配当を出してくれる銘柄に魅力を感じるのは確かだと思います。その場合、仕組上、元本の取り崩しが無いETFを選ぶのが良いと思います。ETFの分配金は税法上、期間中に生じた配当や利息を元にして払い出すことになっているため、投信のように元本を棄損してタコ足配当として分配金を吐き出すことがありません。投信とETFの大きな違いはここにあります。

そして、そのような縛りが無いため、投信は、無理な分配金を出して見かけ上の利回りを高く見せたり等、やりたい放題だったと言えますが、金融庁の近年の姿勢によりそういったやりたい放題の状況が改善されてきており、個人投資家にとっては良い時代に変化しつつあるのではないかと感じています。

ディフェンシブな運用をしたいならば債券系の毎月分配型ETFを物色するのが良いのではないでしょうか。米国の債券系のETFは毎月分配型が基本になっています。例えばバンガードのBNDがあります。債券の領域は自分も勉強不足であまり情報を持っていないのですが、かなり安定志向の銘柄のようで、リーマンショックの際も、株式ETFの下落率が50%にもなる状況の中、7%程度の下落率だったこともあり、安定性もかなり高いのではないでしょうか。

ツイッターで、へぼいんさんから、オススメ頂いた以下の銘柄も良い商品だと思います。DIA、1677はリターンとリスクのバランスが良く、ポートフォリオの中核に据える価値が確かにあると感じますし、EMB、JNKはリスクは高いですが、利回りの高さは魅力的で、ポートフォリオの一部に限定的に組み込み、リスクを抑えながらリターンを補完するのに役立ちそうです。へぼいんさん、コメントありがとうございました。

DIAは米国株式市場の有名な指数である「ダウ」に連動するETFですね。経費率0.17%は少し割高と感じるため、自分自身はS&P500連動型ETFのIVVやVOOや、より全米株式市場全体に投資できるVTI等といった、経費率0.04%の低コストな銘柄のほうが好みです。とはいえDIAも良い商品だと思います。

1677は外国債券ETFですが円で買える(=国内株と同様に買える)のが魅力的ですね。

EMBは新興国債券ETFで、JNKはハイイールド(信用リスクが高いかわりに配当利回りも高い)債券ETFで、どちらも高いリスクに見合う高い利回りが魅力的です。

銀行が真に金融商品で生き残りを図るならば、飲み会で愚痴る前に、個人投資家の利益になる上記のような商品に簡単に低コストでアクセスできる環境を構築する必要があるのでは?と感じます。

毎月分配と類似の口座サービスを銀行自身で構築しては?

個人的な意見ですが、毎月分配型投信を利用したいと思う方は、自らの資産を運用で増やしたいという気持ちよりも、自らの銀行口座に全資産を置いてそこから少しずつ取り崩していくのは、一気にたくさん使ってしまいそうで怖いという感情があるのではないでしょうか。

それならば、もっとシンプルに、銀行内に別口座を作成し、そこから通常口座に低コストで定期振り込みができる仕組みを作り、顧客に提案してはいかが?と感じました。(既にあればすみません。)

実際、住信SBI証券は、投信自動取崩サービスを提供しています。月々決まった金額ずつ、保有している投資信託を換金してくれるサービスです。老後に向けて貯蓄した資産を取り崩していくには、非常に有用なサービスだと思っています。

続く

第一弾:毎月分配型投信について

ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(1)
自分は、一日の始まりや、休憩時間にスマホのGoogle検索アプリの下のほうに表示されるおすすめwebページを見るのが好きです。Googleに...

第二弾:積立NISA等の金融庁の昨今の施策について

ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(2)
前回記事(第一弾)に引き続き、ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズのとある記事に対する反論を書こうと思います。第二弾です。 ...

第三弾:投資で資産形成しなければならない社会こそ問題?

ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(3)
前回記事(第一弾)、前回記事(第二弾)に引き続き、ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズのとある記事に対する反論を書こうと思いま...
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