ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(2)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
  • 8

前回記事(第一弾)に引き続き、ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズのとある記事に対する反論を書こうと思います。第二弾です。

第一弾の記事はこちらです。毎月分配型投信についての意見です。

ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(1)
自分は、一日の始まりや、休憩時間にスマホのGoogle検索アプリの下のほうに表示されるおすすめwebページを見るのが好きです。Googleに...

本記事で反論している対象記事はこちらです。なお、当ブログではこの記事の内容を鵜呑みにしてはいけないと考えていることを強く明言しておきます。

以下では前回と同様に、記事中の文章を一部引用させて頂き、それに対する自分の考え(=反論)をまとめさせて頂きます。

スポンサーリンク

記事の内容について

『つみたてNISA』などの投資税制優遇制度の創設に対し、筆者が違和感を表明

記事の中に、上記の所感が以下のように綴られていました。

(前略)

森金融庁長官ーー彼はまるで勧善懲悪の時代劇の主人公のごとく、銀行の営業方針を批判してきた。徹底的に顧客の利益を優先した経営を求め、銀行にとっては大きな収益源となる金融商品の販売の「姿勢」を公の場で批判してきた。

一方で、彼は『つみたてNISA』など前例がない投資税制優遇制度を創設した。マネー誌や独立系FP(ファイナンシャルプランナー)はこぞってそのメリットばかりを取り上げているが、私にはその姿が異様にさえ感じられる。銀行だけではない。メディアも独立系FPも金融庁の意向に逆らうことができないのかも知れない。

それだけではない。金融庁は、ご丁寧にも「初心者が安心して資産形成を始められる」お墨付きの投資信託まで選定してくださっている。すなわち、アクティブ型株式投信5本、インデックス型株式投信50本弱である。投資家にしてみればお節介も良いところだろうが、これは「銀行にはまともな投信なんてありませんよ」と言われたに等しい。お墨付き投信といっても、金融庁が元本保証をしてくれるわけでもないのにである。

(後略)

個人投資家の目線からは以下のように違和感を感じます。

皆が無知であった時代にやりたい放題できたが、皆が知恵をつけて、悪いことを悪いと指摘される時代になり、ふてくされているだけに見える

販売手数料収入を増やすという、金融機関側の都合が重視され、顧客の利益が軽視されるような営業方針が批判されるというのは、ある意味当然のことなのではないでしょうか。

具体的には、手数料不明な状態や、手数料率の高い金融商品の販売、投信の回転売買による販売手数料稼ぎ等というふうに、過去に金融機関がやりたい放題してきたことは確かな事実で、それらによって個人投資家の利益は実際に大きく損なわれ、その分、金融機関は美味しい思いをしてきたはずです。

昨今の金融庁の取り組みにより、そのような問題点が非常に広く知らしめられ、顧客のためにならないそのような営業が行いにくくなっていることは、個人投資家にとって非常に喜ばしいことであると感じます。

文面からは金融機関が被害者のような印象を受けるかもしれませんが、金融機関はこれまで顧客の資産に対し、圧倒的な加害者であったといっても過言ではない側面が確かにあったのです。そこに対しての批判は甘んじて受ける必要があるのではないかと思うとともに、そういった姿勢が改められない金融機関は今後容赦なく淘汰されていってしまうと思います。

投資税制優遇制度に対して

この銀行員は、投資税制優遇制度に対して懐疑的なようですが、もしそうならば、なぜこの寄稿に、自身が感じられるデメリットをもっと堂々と主張しないのでしょうか。

唯一書かれているのは、「元本保証ではないこと」くらいで、これは投資そのものについてまわる、そもそも投資をするならだれでもわかっていることです。そんなものは、投資税制優遇制度に関係ありません。これでは単なる正論で批判を受けた側のひがみにしか見えませんし、そもそもそういった金融商品を販売している立場の方が口にするのは違和感しか感じられません。

様々な媒体で投資税制優遇制度がポジティブに語られるのは、それが、個人投資家の資産形成に対して、実際にポジティブな側面が多いことの自然な現れに過ぎないのではないかと感じます。

もちろん、投資税制優遇制度についても、掘り下げればデメリットはいろいろあるでしょう。しかし、少額投資からスタートする投資初心者にとっては極めて魅力的な選択肢であることについては、自分も強い確信がありますし、その感覚が間違っているとはあまり思えないのですが…。

この件については、もう少し掘り下げて、今後どこかで記事を書いてみたいと思いました。

積立NISAの適格投資信託について

積立NISAでは、投資できる選択肢が、金融庁によって制限されています。これは確かに画期的なことで、金融商品販売サイドからすれば、衝撃を感じることは理解できますし、投資に対して既にある程度知識や経験のある個人投資家からすれば、制約を煩わしく感じることもあるかもしれません。

しかし、そのような事態が生まれたのは、個人投資家の利益につながらない商品が世の中にあふれていることや、金融機関が投資初心者に個人投資家の利益になりやすい金融商品を必ずしも自ら進んで販売しようとしなかった背景があるからこそではないでしょうか。

「銀行にはまともな投信なんてありませんよ」と言われたに等しい。

とあるのですが、過去にはまさにその通りな状況だったわけで、今でも真に投資家の利益につながりやすい金融商品の販売に積極的でない金融機関は多いはずです。(手数料が低く、手数料で儲けにくいから。)

実際、積立NISAの仕組みならば、初心者の個人投資家でも、上記でさんざん掲げた過去の金融機関の悪癖の犠牲にならず、適切な長期的な資産形成に踏み出せる極めて優れた仕組みだと思います。

金融庁はリスクを取っているのに対し金融機関はチャレンジしているか?

そして、金融庁は自らの見解をはっきり示したことで、極めて大きなリスクを取っていると思います。その選択肢を用いて個人投資家がこぞって投資を行い、良くない結果を得た場合、金融庁が圧倒的な非難を向けられるという未来もあるわけです。

それに対し、金融機関のスタンスはどうでしょうか。金融機関自らの利益のために、顧客の資産や満足度を棄損するという点は、ある意味リスクを取っているといえるかもしれませんが、それ以外の本来とるべきリスク、チャレンジが一部の金融機関以外に見えてこないと感じます。(一部の金融機関は今回の金融庁の取り組みを受けて、手数料率を大胆に下げたり、魅力的な投資信託を新設したり等といったチャレンジをしており、非常に素晴らしいと思います。)

金融庁の選択肢に異論があるならば、金融機関は堂々とそれをアピールし、実際に金融庁のオススメの選択肢よりも魅力的な選択肢を個人投資家に対して提供し、個人投資家が利益を上げられることを示せば良いし、そうすべきです。しかし、現実的には、金融庁が提示した選択肢の大部分の低コストなインデックスファンドに圧倒的な優位があるのは、過去の歴史が証明してきています。(とはいえ、この理屈はアメリカ等の成長国には当てはまりますが、高齢化や人口減少が顕著な日本には必ずしも当てはまらないことには注意が必要です。)

続く

第一弾:毎月分配型投信について

ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(1)
自分は、一日の始まりや、休憩時間にスマホのGoogle検索アプリの下のほうに表示されるおすすめwebページを見るのが好きです。Googleに...

第二弾:積立NISA等の金融庁の昨今の施策について

ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(2)
前回記事(第一弾)に引き続き、ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズのとある記事に対する反論を書こうと思います。第二弾です。 ...

第三弾:投資で資産形成しなければならない社会こそ問題?

ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズから透けて見える金融業界の悪癖(3)
前回記事(第一弾)、前回記事(第二弾)に引き続き、ZUU onlineの「或る銀行員の独白」シリーズのとある記事に対する反論を書こうと思いま...
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

フォローする

よろしければ応援クリックお願いします!
よろしければ応援クリックお願いします! にほんブログ村 株ブログ 米国株へ にほんブログ村 株ブログ 国際分散投資へ にほんブログ村 株ブログ 積立投資へ