職場の同僚のマイホーム購入に際し思ったこと

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
  • 0

最近、職場の同僚の男性がマイホームを購入しました。その状況を見ていて感じたことと、彼との会話の中で感じたことを少しまとめてみようと思います。住宅ローン、奨学金、保険、確定拠出年金、ジュニアNISA、積立NISA等についてのお話です。自分自身は、徹底的に家賃を削った賃貸暮らしをし、投資が当たり前の生活をしているので、同僚のマイホーム購入の経緯はいろいろと新鮮で、いろいろ考えさせられました。以下記事は彼にとっては極めて余計なお世話状態ですが、書かずにはいられませんでした。

スポンサーリンク

同僚の状況

同僚は、男性、30代前半、新婚、マイホーム購入時には奥様妊娠中(既に出産後)、奨学金返済中という状況です。この度、結婚&出産に伴い、マイホーム購入を1ヶ月くらいで決断したとのことでした。確かに、以前、同僚が住んでいたアパートの物件は家賃が約6万円/月、夫婦と子供の3人で暮らしていくには少し手狭な状況ではありました。

物件

立地、間取り

職場から徒歩圏内の住宅街で、近くにスーパーや薬局やコンビニや小・中学校等そろっており、理想的な立地でした。賃貸暮らししかしたことが無い自分から見ると、間取りも素晴らしく、同僚本人と奥様も大変満足そうでした。

価格

はっきりとは教えてもらえませんでしたが、3000万円くらい?というイメージです。マイホームをこれまで考えたことが無く、極限まで予算を絞った賃貸暮らしの自分としては、あまりにも大きい金額で、正直ピンときませんが、立地から判断すると、妥当な価格なのかな…という印象でした。

住宅ローン

これも詳細は教えてもらえませんでしたが、フラット35の最安金利(フルローンの場合1.84%)、30年返済で元利均等、元金均等で団信付きの条件を、それぞれを試しにシミュレーションしてみたところ、月々の返済額は約10.9~12.9万円/月、ローン総額3,839~3906万円くらい+諸経費249~274万円(初期費用+団信分の金額(年払い?))ということになるようです。トータルの利息(諸経費も含める)は元本に対し、35%くらいという感じでしょうか。つらい方向ですが、複利の力を感じますね…。詳細はさらにもう少しいろいろあると思いますが、大まかなイメージということで。

奨学金

彼は大学進学時に奨学金を利用しており、返済が3万円/月程度あるとのことでした。残り期間どれくらいだったかについては、忘れてしまいました。正直、それなりにインパクトのある金額ですね。

保険

ここが、彼と自分でだいぶ意見が食い違い、老婆心ながら心配になってしまったところでした。住宅ローンの試算と同時に保険の販売代理店でファイナンシャルプランナーに資産形成のための保険を相談したそうで、結論として、彼は、学資保険へ加入して教育費の積立をすることにしたとのことでした。他にどのような保険に加入したかは詳細を知りませんが、比較的手厚い状況になっているのでは?と思われます。

学資保険の概要

お子さんの教育費(主に大学での費用)をあらかじめ積み立てしておくというものです。満期まで継続できれば、返戻金が4~5%余分にもらえ、4~5%の利益が出るというものです。ただし、中途解約する場合、高い確率で元本割れします。

学資保険の問題点

大きく分けて二種類の問題があるのでは?と思います。

中途解約せずに続けられるか?

この点に関して、かなり楽観視して始める方が正直多いのではないでしょうか。ライフステージの変化や状況の変化に伴い、家計の支出計画に変化が生じ、継続できないこともあるでしょう。そのような場合に、損失が発生することを受け入れて解約せざるを得ないという局面が、意外と発生してしまうのでは?というところが心配です。

運用期間の長さに比べて利回りが低い(実質的には手数料が非常に高い)

学資保険のラインナップをざっと見てみたところ、積立金額総額の5%くらいが利回り上限のようでした。しかし、学資保険の性格上、お子さんが0才から開始する場合は、運用期間が18年あるため、保険会社の資産運用としては単純なインデックス投資に近い内容でも高い確率で良い結果を出すと思われます。少し控えめな年率3%の利回りでジュニアNISAで満額積立運用できた場合と比較してみました。

学資保険 インデックス投資
ジュニアNISA
トータル ¥4,200,109 ¥6,334,317
利益 ¥200,005 ¥2,334,317
利回りトータル 5.00% 58.36%
積立額総計 ¥4,000,104 ¥4,000,000

利回りのあまりの差に愕然とされる方が多いのではないでしょうか?正直桁が違いますよね…。保険会社も実質的にこれだけの利回りを挙げられる可能性が高いはずで、残りはすべて保険会社の手数料収入となるわけです。インデックス投資の環境が整ってきている昨今の状況だと、「210万円以上の手数料を支払って20万円のリターンを確実に得られる保険商品にすべきか?」「手数料はほとんど無しで230万円のリターンをある程度の確率でもらえる投資を自分自身で行うか?」という選択に実質的になっており、「合理的に考えたときに前者を選択しない理由が果たしてあるだろうか?」と思わずにはいられません…。とはいえ、もちろん後者の選択は、元本割れする確率がある程度あるのは事実で、多くの方がそこに対してきわめて大きな不安を感じるため、保険商品に人気があるのでしょう。

ここまで詳細な会話はしなかったものの、保険を通じた資産形成は手数料が高いため、自身でできるジュニアNISA等の制度の利用を検討してみてはどうか?という会話をしたのですが、すでに保険の契約まで終わっており、本人&奥様含め、決意は固く、どうしようもなかったという状況でした。

住宅ローンと保険のセットを相談に行くのはまさに鴨葱状態…

保険販売代理店にとってこのような商売が極めて美味しい状況であることは疑いの余地がありません。住宅ローンという大きな出費が将来想定されるという不安な状況や、結婚や出産で家族が増えるため安心が欲しいという状況は、保険のセールスにとって圧倒的に有利な状況だからです。

その際に、一般的な投資の知識が無いと、上記のように自身のメリットが少なくなってしまうプランを契約してしまうと思います。インデックス投資を積立NISAレベルの少額でも良いから実践し、お金に対するリテラシーをしっかり高めておくことが非常に重要と感じました。

確定拠出年金

同僚の彼に、試しに確定拠出年金の運用状況を聞いたところ、何にどれだけ割り振ったかの記憶もなく、運用状況をモニターしたり、管理できるページに一度もアクセスしたことが無いという状況でした。

こちらも適切に運用すれば極めて有利な制度だと思うので、一度しっかり見てみたほうが良いと思うよ…というアドバイスをしたのですが、それ以降特に反応は無いので、特に何も起こっていないかなあ…という感じです。

全体を通して…

全体を通して、自分とあまりに考え方が異なり、新鮮な反面、自身の人徳の無さでうまく資産形成の考え方を伝えられず、悲しい気持ちになりました。

しかし、彼と奥様は新居に大変満足しているご様子なので、資産形成という観点では微妙でも、人生の満足度・幸福度という点では、非常に良い選択肢とも言えると感じました。ここからは温かく見守るスタンスで接しようと思います。

今回、一応、友情が壊れないギリギリの線は維持できたと思いますが、やはりお金が絡む話は難しいですね。次の記事では、もし、自分自身が、彼と同じ状況の場合、どのような対応をとるだろうか考えてみた結果を書いてみたいと思います。

自分が彼と同じならどのような対応をとるか考えてみた結果はこちらをどうぞ。

もし自分がこれからマイホームを購入するならどうするか?
前回の投稿では、マイホームを購入した同僚の経緯をご紹介しました。自分の意見とはだいぶ異なる選択をした彼に、ある意味での称賛と、残念な気持ちの...