今週の相場の動きの激しさに若干びびりながらも、来週の相場の動きに少し胸をときめかせているサラリーマン投資家です。(まあ、実際のところは、ほぼ相場とは関係なく、ただ低コストインデックスファンドを自動積立しているだけなのですが…)
ずいぶん前のセミナーの詳細の話を、大分遅くなってしまいましたが、まとめてみました。概要は以前投稿した以下の記事の通りなのですが、今日の記事では、第二部 米国株ブロガー たぱぞうさんによる「これからも米国株は上昇?米国株の魅力全て教えます」についての所感を詳細にまとめてみました。(思いの外、長文となってしまいました…)
なお、私はたぱぞうさんのブログ「たぱぞうの米国株投資」を毎日楽しみにしており、前提として圧倒的な肯定的フィルターが入った記事になっているであろうことはご承知置きください。このセミナーも「たぱぞうさんの話が聞ける!」と思ったが故に参加したといっても過言ではありませんでした(笑)
目次
たぱぞうさんの印象
たぱぞうさんに初めて(遠くからそっと)お会いして
たぱぞうさんのブログでの文体は、非常に穏やかというイメージが強かったです。
しかし、意外にも、講演開始前に壇上にて準備を開始されたたぱぞうさんを初めて目の当たりにした自分の第一印象は「雰囲気的に結構迫力あるな…」というものでした。
しかし、講演が開始され、話が始まると、「笑うと愛嬌が出て親しみやすい…」という印象に変わりました。
講演の内容と所感について
ブログをはじめたきっかけ
周囲の若者に投資の基礎知識を伝えたかった
まず最初にブログをはじめたきっかけについて話がありました。この気持ちはブログを読んでいてもひしひしと伝わってきます。私もたぱぞうさんのブログに出会わなければ、おそらく今のような投資をすることはなかったと思いますし、私自身がブログを書いているモチベーションも似ていると感じていて、(勝手ながら)非常に親近感を持って話を聞かせて頂きました。
投資の基本
投資の基本の考えについて
「1時間という長い時間なので、最初に一番大事なことをお伝えします」との前置きのもと、投資の基本として、以下のコメントが紹介されました。
良いものを 続けて長く 持ち続ける
当たり前のことではあるのですが、資産形成において最も重要なマインドセットだと感じます。当たり前のことは、あまり価値が無いと思われがちですが、「当たり前だがきちんと実践するのは意外と難しい」という事は、色々な領域で感じることが多いです。(資産形成だけでなく、健康、ダイエット、勉強、スポーツ等…)
もう一歩踏み込んで、以下のような考え方が紹介されました。
- どのような時も安心して持てる
- いつキャッシュにしても良い
- 持って良し、売って良し
- キャピタルゲインもインカムも
「リーマンショックのような経済危機でも安心して持てて」「いつでもキャッシュにできるような流動性がある公平な市場があり」「保有し続けていればインカムが、売却した際にはキャピタルゲインが得られる」そんな「良いものを長く持ち続けましょう」という話でした。
具体的な投資対象としての米国株、ETFについて
上述のような「良いもの」の一例として、米国株、ETFが示され、個別株ならワイドモートを持つものを選ぶ必要があって少し難易度が高いが、ETFは選びやすいという説明がありました。
これは、個別銘柄への投資からETFへ鞍替えした経験のある自分としても強く共感することです。
ETFや投資信託を使っての投資は本当に楽なんですよね。
もちろん、尖った戦略で、目もくらむほどの短期的な利益を上げたりすることは、ETFや投資信託では(ほぼ)不可能です。ただ、一般的な個人投資家が、身の丈にあった資産形成を目指す場合は、非常に役に立つ良いものだと日々感じています。
株式vs債券
債券のトッピングの効果(ベンジャミングレアム)
株式100%でなく、債券をトッピングすることの効果が、ベンジャミン・グレアムの戦略(要約すると、50%株式:50%債券の株式:債券比率を基本として、25%~75%の範囲で債券比率をコントロールするというもの)とあわせて紹介されていました。
債券の今昔とキャッシュ
近年は債券のパフォーマンスが良くないため、債券比率でリスクをコントロールするのではなく、キャッシュの比率でリスクをコントロールするという戦略も有効ではないかというコメントもありました。
楽天バンガードのバランスファンドについて
株式:債券の比率=70%:30%、50%:50%、30%:70%という3種類の比率が設定されたバランスファンドの楽天バンガードのバランスファンドについても簡単に言及がありました。
弊ブログでも以下記事で紹介させて頂きましたが、リスクを控えめにしたい方にとっては悪くない選択肢ではないかと思います。
米国株vs全世界株
ある意味永遠のテーマですよね。たぱぞうさんと水瀬ケンイチさんの対談の話を思い起こしながら聞いていました。
S&P500とMSCI ACWIの比較
S&P500が米国株式市場の定番指数、MSCI ACWIが全世界株式市場の定番指数になります。投資は分散が基本ですが…と前置きがあったものの、以下のようなコメントが紹介されました。
- 1930年以降どこを切り取っても米国株が強い
- 全世界(米国以外)では成熟仕切った国が多い
- とはいえ、地域分散によるディフェンシブさを評価する意見もある
過去の実績や経済成長の成熟度合い等からは、米国株vs全世界株の軍配は、米国株に上がっているように見え、たぱぞうさんとしては、米国株寄りの主張をされているように思います。しかし、全世界株がダメというわけでもないのでしょう。
私個人としては、(企業型)確定拠出年金口座は、全世界株式市場の比率に沿ったアセットアロケーションで運用し、それ以外の証券口座は米国株100%のアセットアロケーションで運用しています。(企業型確定拠出年金のプランに米国株インデックスファンドがなかったためという若干消極的な理由もありますが…)
長期的にしっかり継続できるならば、正直どちらでも良いと思います。米国、全世界のどちらを信じられるか、自分自身が納得できるストーリーの側を選ぶことが重要なのだろうな…と思います。
ダウとS&P500の構成銘柄の推移とアクティブな運用の難しさについて
ダウからGEが消え、初期のダウ銘柄が全てダウから消えてしまった少し後に、このセミナーが開催されていたこともあり、アクティブに銘柄を選定することの難しさに触れられていたのが印象的でした。(ダウが1928年に30銘柄となってから90年になるが、これで、当初銘柄は全てダウから消えてしまったということになります。)
暴落の歴史
米国株にも数々の暴落の歴史があることが紹介されました。ただ、傾向として、暴落後もすぐに回復しており、過去90年で3年以上マイナスだったことが3回しかなかったことが説明されていました。
しかし、米国株が停滞していた年代もあるということにも触れられました。
グランビルの法則というチャートのテクニカルな見方の紹介とあわせて、昨今上げ相場が続いているが、こんなに単純でいいのか…という気持ちもあると言葉にされており、過度な楽観視によるリスクのとりすぎは禁物だよな…と改めて気持ちを引き締めねば…と感じました。
日本vs米国
日本市場について
小型株有利な日本市場
日本市場の特徴として小型株が有利で、それら特徴を捉えた個性的なアクティブ投信の「ひふみ」「ジェイリバイブ」「ニッポン中小型株」等が簡単に言及されていました。
日本市場の労働人口推移は悲観的…
ただし、日本市場の特徴として、労働人口の推移を、「騎馬戦から肩車」と表現されており、悲しいながらぴったりな表現だ…と感じずにはいられませんでした。
日本の人口減少に伴う課題をイノベーションで解決できるか?
人口動態の課題をイノベーションで解決できるか?ということについて、「外圧が無ければ無理では?」「破壊よりも維持に長けた国民性」という二つのキーワードで、なかなか難しいのではないか…ということが説明されていました。
サラリーマンをやっている自分の印象としても、悲しいですが、正直同じ印象です。
米国、世界について
人口増加、消費成長
日本に比べ、一転して米国や世界に目を向けると、今後も人口増加や消費成長が見込めるということが、人口統計やGDP予想などを元に説明されていました。
ただし、中国は、比較的早いタイミングで高齢化の波が押し寄せるということも説明されており、中国経済の先行きはどのようになるのだろう?ということに関しては、改めて考えさせられました。
困難な時代を生き抜く投資術
日本の過去と今と将来について軽く触れた後、これから訪れるかもしれない困難な時代を生き抜くためにどのような投資術が必要かということについて話がありました。
弊ブログの「サラリーマンのための投資術」というネーミングにも通ずる内容で、たぱぞうさんの主張の根幹を為す非常に重要な部分だと感じました。
現時点の豊かな富を正しく移転する
日本は現時点では世界で見ても比較的裕福な国だと思います。しかし、日本に住み、サラリーマンをしていて思うことがあります。それは、やはりどこか我々日本人は現状の豊かさに胡坐をかき、今後も同様の豊かさを維持できると楽観視しているのではないか…ということです。
たぱぞうさんの話を聞き、今の日本の豊かさを将来に適切に残すためには、我々日本人各個人がしっかり考えて、各自、無理の無い範囲で適切な努力をすることが大切だと改めて思いました。
まだ間に合う成長国投資
かつて日本は圧倒的な成長国でした。しかし、日本人の誰もが日本の成長のメリットを享受できる良き時代は終わったといっても過言はないでしょう。とはいえ、海外に目を向ければ、成長国はまだまだ多くあり、そういった国々への投資が重要ではないかと改めて感じさせられました。
具体的には?
国際分散投資、現金以外の資産への分散投資のすすめ
給与や年金を日本円でもらっている日本人は、ドルで配当益やキャピタルゲインを得る行為を目指すことが、リスク分散の観点から合理的ではないかとのことでした。
日本人の現金一択は世界的に見るとマイノリティというコメントもありました。資産形成における国際分散投資という視点が、確かに日本人には必要だよな…と改めて感じさせられました。
投資に適した国に投資しよう
個別銘柄の見通しは難しいものの、市場全体の環境の予測はつきやすいことから、「人口増加、消費成長」が見込まれ、「投資に見合った法環境」が整備された国に投資するのが良いのではないかという話になりました。そして、その条件を満たすものとして、米国株への投資は極めて有効ではないかという結論でした。
米国株投資手法
具体的に米国株へ投資する際の戦略として、何パターンか紹介されていました。
連続増配銘柄
配当を毎年増やしてきた&今後も増やしていけるであろう銘柄へ投資する手法です。バフェット太郎さんが有名でしょうか。弊ブログでも、バフェット太郎さんの書籍を紹介したことがあります。(過激な本ですが、根底にある主張は非常に堅実で、煽りに満ちたスタイルを笑って受け流せる人にとっては、非常に良い本だと私は思います。)
ただし、連続増配銘柄への投資での注意点として、「無理のない配当性向が重要であること」「安易な連続増配銘柄のチョイスは危険」ということが指摘されていました。
成長株
アマゾン、エヌビディア等が例に挙げられていました。以下のような特徴が挙げられていました。
- 株価は常に割高
- 売上成長率が重要
- 利益率も重要
- 事業の将来性が重要
- 創業者社長のイノベーション、意思決定の速さが強み
成長株は、個人的には、リスクが大きすぎると感じるため、私サラリーマン投資家は距離を置いています。
ETF(インデックス投資)
やはり、たぱぞうさんと言えばETFという内容ですね。以下のような銘柄が紹介されていました。私自身が保有している銘柄も散見されます。(以下に挙げられたETFの内、私は現在、VOO, VTI, VYMを保有しています。)
- S&P500連動のETF(米国株式市場の約8割を閉める大型株全体)
- SPY, VOO, IVV
- 米国株式市場のほぼ丸ごとと言っても過言ではないETF
- VTI
- 米国株式市場の高配当銘柄に分散投資できるETF
- VYM
- 米国債券市場への幅広い分散投資が可能なETF
- BND, AGG
- 全世界株式市場ほぼ丸ごとと言っても過言ではないETF
- VT
- 米国を除く全世界債券市場への幅広い分散投資が可能なETF
- BNDX
投資信託(インデックス投資)
最後に投資信託についても紹介がありました。これまでは投資信託で良い選択肢はあまり無かったのですが、近年、日本でも急激に魅力的な選択肢が増えてきており、わざわざドルにしなくても、日本円で良い商品をより簡単に買うことができるようになってきたことは非常に嬉しいですね。
eMAXIS Slim S&P500
弊ブログでも以下のように紹介させて頂いたことのある投信です。
S&P500連動の投資信託としては、圧倒的な信託報酬の低さを誇ります。これを下回るコストを実現する投信は果たして出てくるのだろうか…というレベルです。ごく最近設定されたものになりますが、急激に大きく資産残高を伸ばしているようです。eMAXIS Slimシリーズは株式系については、完全に網羅されたと言って良いかもしれませんね。
楽天VTI
こちらも弊ブログで以下のように紹介させて頂いたことのある投信です。
私自身も、楽天VTIを主力商品として、毎月自動積立しています。「米国株式市場に分散投資可能な低コストなインデックスファンド」であり、「VTIというETFをシンプルに買い付けるのみ」という「ファンズオブETF」という新しいチャレンジでもある楽天VTIは、非常に可能性を感じる商品だと私も思っています。
最後にたぱぞうさんが注目している個別銘柄の紹介
最後に、たぱぞうさんが注目している個別銘柄の紹介がありました。ここで印象深かったのは、セミナーを聞きにきた方々が一斉にスライドの写真を撮っていたことです。やはり、具体的な銘柄の情報には、注目が集まりますよね…
また、個別銘柄の一番最後にさりげなく、ETFのVTIが書かれていて、個別銘柄は色々大変なのでETFでも良いよね…という話で締めくくられたのも印象的でした。
全体を通じての所感
個人的には、個別銘柄の情報よりも、それ以前の考え方の部分に大きく価値があったセミナーだったと思いました。内容自体は、たぱぞうさんが日々ブログで発信されている通りですが、1時間という枠の中にぎゅっと凝縮されたプレゼンを聞くのは、ブログを読むのとまた違う面白さがありました。
たぱぞうさん、この場を借りてお礼申し上げます。楽しませて頂きありがとうございました。
長文、最後まで読んで頂きありがとうございました。こんな記事も書いています。
自分が投資をするにあたり、たぱぞうさんをはじめとする、投資ブロガーの方々の良質な記事が大きな後押しをしてくれたと思います。いつかくるだろう暴落の際にも落ち着いて行動できるように、日々、様々な方の意見を学びながら、これからも淡々と資産形成に励んでいきたいと思います。
結局のところ、一般的な個人投資家が再現性の高い資産形成を行うには、低コストなインデックス投信やETFを長期的に積立続けることにつきるのだと思います。そのようにインデックス投資を長期的にしっかり継続するためには、水瀬ケンイチさんの「お金は寝かせて増やしなさい」のような良著を読んでしっかり腹落ちした上で投資に取り組むことが重要なのだと思います。
今週は全世界の株式市場で、大きな調整が発生しました。これが暴落の序章なのか、それともただの短期的調整なのか、将来のことは誰にも確実なことはわかりません。このような時に、損切りという名目で狼狽売りをせずにすむよう、「良いものを買って長く持ち続ける」体制を精神面も収入の面も健康の面も作っておくことが重要だと改めて思いました。