幣ブログでも頻度高く取り上げている、楽天・全米株式インデックス・ファンド(通称:楽天VTI)や、楽天・全世界株式インデックス・ファンド(通称:楽天VT)を運営している楽天投信顧問が、新たに3種のバランスファンドを出すようです。
これらが非常に良い商品のように思えましたので、ご紹介させて頂ければ…と思います。
目次
既存の全世界の株式と債券に分散投資するバランスファンド
これまでは6資産均等分散がほとんど
国際分散投資という言葉は、多くの場合、次の6資産への分散投資を指すことが多いでしょう。(これに加え、国内REIT、先進国REITの2資産も加えた8資産への分散投資もあると思いますが、ここでは省きます。)
- 国内株式
- 先進国株式
- 新興国株式
- 国内債券
- 先進国債券
- 新興国債券
既存の6資産バランスファンドでは、多くの場合、全資産に均等分散したバランスファンドとなっているものがほとんどでした。
しかし、全資産均等の場合、国内資産や新興国資産の比率が高すぎる点(=米国の比率が低すぎる点)が自分好みではありませんでした。
例外のセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
それら6資産均等分散の投信たちに対し、例外が、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドでした。
この投信は、バンガードの投信をマザーファンドとして活用することで、地域毎の均等分散ではなく、時価総額比率に応じた地域比率での株式50%、債券50%というアセットアロケーションを実現しています。6資産均等分散より、こちらの方が自然な国際分散投資であるように自分には感じられ、自分としてはこちらのほうが好みです。
しかし、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは信託報酬が年0.68%±0.3%で、購入手数料は0%であるものの、信託財産留保額が0.1%と設定されており、コストはあまり低くありませんでした。
また、株式:債券比率が50%:50%のものしかなく、リスク許容度に応じて債券比率を変えたい投資家にとっては、選択肢が足りない印象がありました。
楽天バンガードファンドの新しいバランスファンド
上記のような状況に対し、楽天バンガードから、新しく以下の3パターンの投信が出ることになるようです。
楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)
楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)
楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)
それぞれのイメージは以下の通りです。
全世界株式の部分はVTで実現されるのでしょう。債券の部分は米国株式市場に上場しているETFの中ではそれに当てはまるものを見つけられませんでした。アイルランド籍の投資信託(VANGRSI:ID)には当てはまるものがあり、それを使うのかもしれません。
アセットアロケーションの中身や構想は、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドとほぼ同じで、一言でいうと、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが完全に置いて行かれてしまった格好となっているように見えます…
株式:債券比率が7:3, 5:5, 3:7の3種類が設定されており、リスク許容度に応じた選択が可能
株式:債券比率が3種類設定されています。リスク許容度に応じて債券の比率をどれくらいにするかという、アセットアロケーションの選択を、シンプルにどの投信にするかで選べるというのは非常にわかりやすくて好感が持てます。
また、3種類というのもちょうどよいレベルと感じます。多すぎても運営コストが無駄にかかり過ぎるでしょうし、かといってセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドのように半々の1種類だけだと、選択肢に不足を感じてしまうでしょう。
低コストがしっかり実現されている
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドのコストは信託報酬0.68%(信託財産留保額0.1%)です。それに対し、楽天バンガードのバランスファンドのコストはノーロードかつ信託報酬は以下のようになるようです。つまり、コストも圧倒的に楽天バンガードの方が優れています。
<バランス株式重視型>:0.2446%(税込)程度
<バランス均等型> :0.2546%(税込)程度
<バランス債券重視型>:0.2646%(税込)程度
均等分散以外の考え方のバランスファンドの決定版
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドも、これまでは独自の特色を持っていましたが、ここにきて楽天インデックスバランスファンドに大きく水を開けられてしまった格好になりました。
楽天バンガードシリーズ全般に思うのですが、低コストで良質なETFをできるだけ少ない本数組み入れて投信を作るというコンセプトが、非常にぴったりとはまり、競合に大きな差をつけた一例だと思います。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが今後どのような対抗策を打つのかは、個人的には楽しみではあるものの、厳しい戦いになるだろうな…という感は否めません。
まとめ
非常に魅力的なバランスファンドが出てきたと思います。各個人のリスク許容度や、ライフステージに応じて、以下のように使い分けるだけで、かなり確度の高い資産形成が可能なように感じました。
(若年層)リスク最高 楽天・全世界株式インデックス・ファンド (=株式100%)
(中年層)リスク高 楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型) (=株式70%:債券30%)
(老齢層)リスク中 楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型) (=株式50%:債券50%)
(退職後)リスク小 楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型) (=株式30%:債券70%)
反面、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、苦しい立場に追いやられましたね…。今後どのようになるか、正直現状の商品設計のままで戦うのは厳しいと思いますが、頑張ってほしいところです。
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積立NISAには、楽天バンガードシリーズの、楽天全米株式インデックスファンドか楽天全世界株式インデックスファンドがオススメです。それらは、コンセプト的に、リバランスする必要が無いからです。
確定拠出年金では、リバランスに伴う確定利益に課税されないため、リバランス前提で信託報酬最安の各資産個別のインデックスファンドを組み合わせた方が有利になるでしょう。現時点では、ニッセイの<購入・換金手数料なし>シリーズと三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズのどちらかを選んでおけば、手堅いでしょうか。