イタリア国債を巡る状勢が、全世界の金融市場に動揺を与えました。しかし、直ちに破滅的な影響を生むという状況ではなさそうです。経緯を簡単に整理して、自身の所感をまとめてみようと思います。正直、世界経済への理解は浅いので、間違い等もあるかもしれません。そのような場合は、もしよろしければ、色々ご指摘頂けますと幸いですm(__)m
目次
経緯
事の発端は?
まず、イタリアの政局不安が根底にあったようです。以下記事を要約してみました。
- イタリア総選挙後の組閣が2ヶ月だっても目処が立っていない。
- 再選挙の可能性もある。
- 再選挙がもし実施された場合、ポピュリスト政党の主張する、EU離脱も懸念されている。
- 上記背景を受けてイタリア国債への信用不安が高まった。
- イタリア国債の取引において、誰もが売ろうとする側に立ち、買う側が非常に少ない状態になった。
- 価格が暴落した。(=利回りは急騰した。)
(Bloombergより引用)
全世界注目の下、5/30のイタリア国債入札が行われる
この5/30のイタリア国債入札(=イタリアが、自国の国債を大量に新規売り出しすること)に対して、適正な買いが入るのか?それとも全く買いが入らないか?で、今後の金融情勢に大きな影響が出ると見られていました。
(Bloombergより引用)
結果的には、イタリア国債入札は無事完了
結果的には、「買いが殺到!」というほど好調では無かったものの、無事、国債入札が完了した模様です。
しかし、イタリアの政局の混迷が解決された訳ではなく、今後も政治リスクを引き金にした金融不安が起こる可能性はゼロではない…といったところでしょうか。
(Bloombergより引用)
所感
EUの構造的課題が浮き彫りに?
今回の件は、ギリシャショックの際と同様に、EUが構造的に抱えている課題を浮き彫りにしたのかな?と感じました。
国毎に異なる経済状況 vs ユーロという共通通貨採用に伴う経済政策の柔軟性への制約
EUは共通通貨ユーロを使用しています。しかし、各国の経済状況はまちまちです。本来であれば、各国の経済状況に合わせて、各国が柔軟に経済政策を調整したいでしょう。
しかし、共通通貨ユーロを使用していることで、EU圏内の一国の経済政策が、他のEU圏国家全体にも大きな影響を与えてしまうということが起こるのだと思います。
自国の経済状況に合わせて柔軟な経済政策を実施する難しさ。一国の経済状況や経済政策が生み出す他のEU圏内への飛び火やユーロ自体に対する通貨不安。そういったものの片鱗を感じさせる出来事だと感じました。
イギリスが頑なにユーロ導入を拒否したり、ブレクジットへ向かった背景も類似?
もうだいぶ時がたつ印象ですが、ユーロ離脱を表明したイギリスについて、「なぜそんな決断に至ったのだろう?」と思う気持ちが自分の中では強く、未だに釈然としていませんでした。
しかし、今回の件を見て、(わずかながら、)経済政策観点から見た理性的な判断もあったのかもしれないと感じました。(まあ、大部分は、もう少し本能的・感情的決断だったのだろう…と今でも思っていますが…)
株式市場への影響について
5/29の米国市場は急落したものの、5/30には反発していました。市場全体に広く分散投資したインデックス投資家は、このような際に狼狽売りせず、しっかりホールドし続けることが重要であることを改めて感じました。
まとめ
今年に入り、度々、金融不安を掻き立てるようなイベントが続いています。
何の根拠もありませんが、そろそろ大きな調整、暴落が待っているのかもしれません。
インデックス投資家にとっては、暴落期は試練の時です。試練の時に、すべてを投げ捨ててしまわないよう、自身の投資哲学を(適度に)固めておくことの重要性を痛感させてくれる出来事として、今日も誓いを新たに、日々歩んでいきたいと思います。
こんな記事も書いています。
株式市場が加熱してきた感のある昨今、債券への投資妙味を感じて書いた記事です。しかし、自身は、長期的には株式のリターンが債券を上回ると信じており、現時点では債券を保有していません。暴落期に当初の方針通り、株式市場への自動積立を続けられるか。自身の許容できるリスクを考え、適切な債券比率を考えておくのは非常に重要だと思います。
インデックス投資は、「暴落期でも臨機応変に立ち回ることで利益を確保する」といったことを、ある意味「捨てる」or「諦める」投資法です。しかし、「捨てる」or「諦める」ことで見えてくる景色は、必ずしも絶望ではないと私は思っています。
インデックス投信への積立投資は、一般サラリーマンでも資産形成に成功できる、大きな可能性を示してくれていると思います。ただし、そのためには、暴落期の逆境に負けず継続することが必要です。私もまだ本格的な暴落は未経験なので、そのときになってみないとわかりません。どうなるかはわかりませんが、日々一歩一歩進んでいきたいと思います。