低コスト投資信託、低コストETFで非常に有名なバンガードの本格的な日本上陸の可能性が取り沙汰されています。このニュースについて思うところをまとめてみました。私自身がこの情報を知ったのははHIRAさんのTwitterからで、元ネタはBloombergのニュース記事のようです。
HIRAさんのTwitter投稿
まさに黒船。証券営業マンと顧客の間に重大な利益相反がある日本市場に、顧客主義と低コストを謳う、運用資産5兆ドルの化け物が…もっと早く‼︎
▶︎ 資産運用会社バンガード・グループが、日本の個人投資家向けに投資信託の直接販売を検討している。
— HIRA (@Open_JP) April 25, 2018
目次
バンガードとは
世界初のインデックスファンドを作ったのがバンガードです。現在も低コストなインデックスファンド、低コストなETFの最前線をキープしており、ファンドの資産規模増大に伴い、着実に信託報酬を下げていっている姿勢が非常に頼もしいと感じます。
一言でまとめてしまうと、インデックス投資を通じた個人投資家の長期的な資産形成を考えるにあたって、非常に良い商品を低コストで提供してくれている会社なのです。
現状は?
現在、バンガードの商品を買うには、米国市場のETFを購入するか、楽天バンガードファンドの投資信託を購入するか、セゾンバンガードグローバルバランスファンドの投資信託を購入するかの3択だと思います。
以下にそれぞれの選択肢の特徴をかんたんに書いてみました。どの選択肢もそれなりに魅力がある投資環境にすでに日本はなっています。これは、近年の金融庁の取り組みが非常に大きいです。世界中を見渡しても、アメリカ、ロンドンに次ぐくらいの、(長期的な資産形成を目指す個人投資家に取って)魅力的な投資環境がここ数年で急速に整備されました。
米国株式市場のETFの購入
まとまった資金を用意でき、確定申告で外国税額控除手続きができる人にとっては、米国株式市場のETFが最も低コストで済むため、メリットがあります。
楽天バンガードファンドの自動積立
少額の積立投資をできるだけ手間をかけずにやりたいという人にとっては、楽天バンガードの投資信託の自動積立が最良です。
セゾングローバルバランスファンドは手数料高いと感じるがディフェンシブな運用を望む方にとっては魅力的かも
セゾングローバルバランスファンドについては、債券比率が50%、株式比率が50%ですので、よりディフェンシブな運用をしたい方向けということになるでしょうか。とはいえ、信託報酬が0.68%±0.03%、信託財産留保額0.1%という手数料は正直割高に感じ、上記の2つの選択肢に比べると魅力は少ないです。
バンガードの上陸がもしあればどう変わるか?
まず、バンガードの日本での直販については、未だ確定的な情報が無いことをお伝えしておかねばなりません。
その上で、もし、バンガードの日本での直販があった場合、どうなるだろうか?と妄想してみました。
より低コストなETFが日本の株式市場に上場されるかも?
米国市場に上場していた「SPY」というS&P500のETFが、国内市場で「1557」として円建で購入できるのですが、両者の間に信託報酬の差は無いように見受けられました。(勘違いしていたらすみません。)
バンガードのETFで同様の状況がもし作られたとしたら、VOO、VTI等の0.04%の信託報酬のものが同程度の信託報酬で円建で購入できるということになります。妄想でしかありませんが、もし本当に実現されたら、本当に嬉しいですね…
より低コストな投資信託が登場するかも?
楽天バンガードの信託報酬は、正直、現時点でもかなり安いと思います。しかし、仲介者である楽天でのコストが確実に乗っています。バンガード直販であれば、仲介者となる他社が乗せるコストより、構造的に安くできるのではないでしょうか。
こちらももし本当に実現されたら、本当に嬉しいです。
中途半端な投資信託やETFは駆逐されてしまうかも?
中途半端な国内のインデックス投信やETFは容赦なく駆逐されていく(償還に追い込まれたり、ファンドの運営が成り立たないくらいの資金流出に見舞われる)かもしれません。
これは、該当する投資信託やETFを保有している個人投資家にとっては、短期的に見れば嫌な事態かもしれませんが、長期的に見れば、低コストで良質(だろうと予想していますが、どうなるのかはそもそもわかりませんよ)な商品に乗り換えられるチャンスでもあると言えると思います。
すべての場合において乗り換える必要が出て来るとは思わないですが、適度に関心を払いながら、対象インデックスに対し、程々に最良の選択肢を選んでいけば良いと思います。具体的には、1年に1回くらいのリバランス時や、何らかのニューストピックが出た時等に、自身が保有や積立している投資対象の信託報酬と簡単に比べて見て、どうするかちょっとだけ考えてみるというのが良いのではないでしょうか。
この点に関しては、水瀬ケンイチさんが以下のようなコメントをTwitterでされていました。(僭越ながら、私も同じ意見です。)
米国バンガードに関する某報道の真偽は不明ですが、まるで日本で直販しないでくれと言わんばかりの悲観論が投資家側から出ていることに呆れています。eMAXIS Slim登場の時もそうでしたが、どんな形であれ、今よりも低コストで高品質なファンドが日本で新たに登場することは良いことだと私は思います。
— 水瀬ケンイチ (@minasek) April 26, 2018
こんな記事も書いています。
Twitterのコメントを引用させて頂いた 水瀬ケンイチさんの著書のご紹介です。インデックス投資入門のすべてが書かれていると言っても過言ではない良い本で、確定拠出年金、積立NISA等を始める際の学びに最適だと思います。
バンガードのETFで行う国際分散投資の手法の提案の記事です。個人投資家にとって、非常に使いやすい良い商品が低コストで提供されている点がバンガードの強みだと思います。こちらの記事はたぱぞうさんの記事にインスパイアされて書かせて頂きました。