ソーシャルレンディングの匿名化問題の改善に向けた動きについて思うこと

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ソーシャルレンディングは、年利数パーセント~14%程度の投資利回りを、1~数万円程度の小口の投資資金で実現できる可能性があり、注目されていました。

しかし、ソーシャルレンディングでは、「匿名投資組合」という仕組みによって、資金の借り手の情報を伏せる必要がありました。これによって、詐欺・自転車操業のための資金調達がされやすい現状が浮き彫りになってきています。

この現状に対し、投資先の情報明示を2018年度中に可能とするよう動きがある旨、ロドスタさんのWEBページ(元ネタは日経新聞)にて情報がありました。

これについて、少し考えてみました。

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ソーシャルレンディングの現状の課題

現状の貸金業に関する制約をどのようにクリアしているのか

資金を貸すためには、貸金業の登録が必要という制約があります。

しかし、ソーシャルレンディングでは、個人投資家に貸金業の登録等できているはずがありません。ここについてどのような判断がされているか、現実的な判断がまとめられた資料が、内閣府の資料としてありました。

まとめると、「貸金先の情報が伏せられていること」と「貸金先が複数であることを満たす」の双方を満たす条件であれば、貸金業の登録をしていない個人投資家も間接的に資金の貸し付けを行うことが可能という判断のようです。

この2条件を満たす仕組みとして、匿名投資組合という仕組みが利用されているのだと思います。

匿名投資組合によって借り手情報が伏せられることによる投資家の意思決定判断材料不足

上記のような理由により、借り手の情報が、投資家からは見えない状況があります。この状況を悪用すれば、詐欺・自転車操業目的の資金調達が容易にできてしまう現状が、ここ最近、実際の問題を伴って顕在化していると感じます。

ソーシャルレンディングでの借り手情報の明示によって何が起こるか

そのような課題解決のため、借り手の情報を明示できるよう、改善が行われる可能性が浮上しているようです。そうなるとどのようなことが起こるか、簡単に考えてみました。

資金提供者(個人投資家側)の意思決定がより合理化され、詐欺案件や自転車操業資金調達の実現性が減って、業界が健全化される

事業者の資金調達においては、情報をオープンにした上で、資金提供側が適切な情報に基づいて意思決定できる姿が本来自然でしょう。そのような場合、筋の悪い案件の資金調達は、実現せず、業界の健全化につながると思います。

逆に言うと、筋の悪い運営業者は大胆に淘汰されてしまう

ここが、既にソーシャルレンディングに既に投資している自分としては、怖いところですね…。おそらく情報明示後には、これまで匿名投資組合の仕組みの裏に隠れていた膿が一気に明るみに出るでしょう。筋の悪い業者には、あっという間に資金が集まらなくなり、そのような業者の運営はあまり長続きしないのではないか…と思います。

まとめ

長期的に見れば、業界の健全化につながるグッドニュースだと思います。しかし、1~2年くらいの短期的な期間の影響で見ると、筋の悪い業者がどんどん淘汰されていく、厳しい時代が始まるかもしれません。

私自身は、今回の情報を受けて、ソーシャルレンディングの未来には、結構期待しています。しかし、まずは注入した資金を、できるだけ早期に回収したいと考えています。間に合わないものもあるかもしれないな…というのが正直なところですが、ここばかりは神のみぞ知るという感じですね。

こんな記事も書いています。

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