幣ブログでは、資産形成のために確定拠出年金の有効活用をオススメしています。確定拠出年金には、会社型と個人型の二種類があります。
個人型では、証券会社や投資する対象を、個人の裁量で選ぶことができます。しかし、会社型では、会社が証券会社と調整して設定した選択肢の中からしか投資対象を選べません。
昨今の情勢からみて、あまりにも選択肢が劣悪である、「損保ジャパン日本興亜DC証券」の事例の記事を引用させて頂き、自社の条件と簡単に比較して、感じたことを述べようと思います。
アルパカ2.0さんの記事を以下に引用させて頂きます。
ツイートはこちらに引用させて頂きます。
【ブログ更新】高コストな企業型確定拠出年金(DC)のラインナップを公開!損保ジャパン日本興亜DC証券の巻 https://t.co/REmF9tkrXq
— アルパカ2.0 (@alpaca_2go) 2018年5月19日
目次
自社との比較から感じること
選択肢の有無、信託報酬どちらも、損保ジャパン日本興亜DC証券はあくどい…
種類
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指数
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名目コスト | |
損保ジャパン 日本興亜 DC証券 |
自社(一例ととらえて頂ければ…) | ||
国内株式インデックス | TOPIX | 0.6696% | 0.1242% |
先進国株式インデックス | MSCIコクサイ(除く日本) | 選択肢無し! | 0.1404% |
新興国株式インデックス | MSCIエマージングマーケット | 選択肢無し! | 0.5886% |
「先進国株式インデックス」「新興国株式インデックス」が無い!というのは、日本からインデックス投資すると考えた場合、はっきり言ってあり得ないと言い切って良い、暴挙です!
しかも、元記事を拝見させて頂いたところ、先進国株式や新興国株式のアセットアロケーションを意識した商品の選択肢には、信託報酬が1.8~2.0%程度と、超絶ぼったくり信託報酬(手数料)のアクティブファンドしかないという徹底ぶりでした。
日本国内のインデックスのTOPIXについても、信託報酬0.6696%は非常に高額と感じます。私は、自社のラインナップについて、「国内」「先進国」は、非常に信託報酬がお手頃で好感を持っていたのですが、「新興国」はもう少しお手頃にできなかったのだろうか…という気持ちがありました。しかし、世の中には、もっと恐ろしい次元があるのだと、驚愕の気持ちでいっぱいです。
このような選択肢と信託報酬だと、投資について最低限の知識をお持ちの方ならば、リスク性資産での会社型確定拠出年金の運用に価値を見出せないでしょう。そして、投資の知識がそれほど無い方々なら、何も知らないまま高い信託報酬を払い続けてしまう結果になるでしょう。
顧客の利益を軽視した運用提案について思うこと
会社側担当者の知識の無さ、熱意の無さ
おそらく、このような事例を招いたのは、会社側担当者の知識の無さ、熱意の無さによるものだと思います。
もちろん、投資をやったことが無い、総務や経理やシステム担当の方もいらっしゃるでしょう。
しかし、今やインターネットで少し検索するだけで、確定拠出年金の商品ラインナップや運用戦略等に関する情報は、自ら学び取ることができる時代になりつつあると思います。
もし、会社型確定拠出年金にかかわっているご担当の方がこういった記事を目にされたならば、「ほんの少しの事前知識、業界動向等といったものを知っているか否か」が「従業員皆の資産形成に大きな影響をよくも悪くも与えてしまう」ということを、心にとめておいていただき、従業員の方々の声に真摯に耳を傾けて頂けることを願ってやみません。
自社の利益のみを徹底的に追求し、顧客の利益を完全に無視した証券会社の経営姿勢
もちろん、証券会社の利益を追求する姿勢に一定の理解は示せます。しかし、今回の記事の事例は、あまりにも悪質です。会社側担当者の知識の無さと、会社型確定拠出年金という「顧客が異論を唱えにくい」状況を、最大限に利用して、高額な手数料を搾り取る意思満々だからです。
短期的には、会社側担当者が適切な知識を身につけ、証券会社選びや選択肢となる商品に対する適切な要望を出し、しっかり調整するということが必要でしょう。また、世の中にこういう情報がしっかり出回ることで、健全な範囲での競争が促され、そういったあくどい取り組みが少しずつなくなっていくような、そんな世の中になってほしいな…と思いました。
何らかの基準(ルール)作りが必要か?
何から何までルールで縛るというのは自分は否定的な意見を持っています。しかし、こうも悪質な運用提案がまかり通っているなら、何らかの基準作りが必要なのかもしれないと感じます。個人的に、こういう縛りがあると良いのかもしれないと思うものを掲げます。
インデックス投資に必要な金融商品の選択肢を義務付ける
「国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券の6資産は、インデックスファンドを選択肢に含めることを義務付ける」くらいのしばりが必要なのかもしれない…と、今回の事例を見て思いました。
信託報酬(手数料)の公開を義務付ける
インデックスファンドが選択肢にあっても、結局、信託報酬が高ければ、ぼったくり運用であることに変わりはありません。とはいえ、「一律いくつ以下に」という基準が厳しいかもしれないというのは、各証券会社や各会社毎の運用コストに差が出ることも含めて理解できます。
だとすると、(加入者以外にも)情報の公開を義務付けることによって、健全な競争を促すというのが良いのではないでしょうか。(まあ、既に公開されている個人型確定拠出年金のラインナップを見れば、雰囲気は現状でも十分に察することができますけど…)
まとめ
私はこれまで、損保ジャパン日本興亜DC証券について、特に何も知りませんでした。しかし、今回の事例を知って、SOMPOホールディングズ系列企業のサービスには、距離を置こうと心に刻みました。
もし、金融機関の方で、幣ブログを拝見して頂いた方がいらっしゃいましたら、このような意見に対して良い気持ちはしないかもしれません。しかし、顧客の利益を完全に無視した、自社の利益のみを徹底追及する姿勢は、長期的に見ると大きなブランド価値の棄損を起こすと思います。
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確定拠出年金を始める際のお供としては「お金は寝かせて増やしなさい」が大変オススメです。