顧客にとって真に有用な資産形成サービスを利用するには、実店舗を持っている対面型の証券会社を利用するのではなく、ネット証券会社を利用したほうが良い場合が多いでしょう。(抜きん出ているのは、住信SBI証券、楽天証券、マネックス証券等だと私は思います。これら会社の口座開設は、ネットから簡単にできます。)
しかし、対面型の証券会社を利用せざるを得ない場合もあるかもしれません。6/5の記事ではコスト面から、6/6の記事では金融商品の種類と傾向の観点から、6/7の記事ではアセットアロケーションの観点から、6/8の記事では優良商品(株式編)の観点から、6/9の記事では優良商品(債権編)の観点から、6/10の記事では優良商品(国内債券編)の観点から、どのような意識で対面型証券会社とお付き合いすべきかを書いてみました。
今日は、第六弾として、アセットアロケーションで設定した各資産毎の優良商品の内、国内債券に関連する商品に絞って情報を整理してみたいと思います。
目次
債券クラス
先進国債券
所感
海外債券への投資では、生債券を日本で購入するのは少し難易度が高いかな…と思います。購入時の手数料、購入できるタイミング、選択肢、価格等に限りがあるという印象なのです。おそらく、低コストなインデックスファンドやETF等で、投資対象の債券や時期を分散させた戦略を取るのがお手軽だと思います。
とはいえ、生債券の確定的な特徴(満期までの保有で、現地通貨ベースでの元本が保証、利回りが確定している)は魅力的なので、購入価格や手数料や購入タイミングの目利きが優れた方は、チャレンジしてみる価値があるかもしれませんね。
弊ブログの主張としては、先進国債券クラスは、低コストなインデックスファンドやETFでの運用がオススメかな…と思います。
先進国債券での運用時の考え方
海外債券での資産運用ということは、国内債券での防衛的な資産運用に比べ、為替リスクを取ることになります。この為替リスクをどのように捉えるかで大きく以下の2パターンに戦略が分かれるのではないか…と思っています。
米ドルの安定感を重視する戦略
金融大国アメリカ故の、通貨の安定性は、やはり強く感じられるところです。このように、米ドルの安定感を重視して、海外債券クラスを資産運用にて活用するなら、米国債券市場への分散投資を基本とする、インデックスファンド、ETFを活用するのが望ましいでしょう。
オススメ商品としては、海外ETFになってしまいますが、BNDかAGG。インデックスファンドは適切なものを見つけられませんでした。
全世界の先進国への分散性を重視する戦略
アメリカ一国だけでなく、全世界の先進国の通貨へ分散投資することで、リスクを軽減させたいという考え方もあるかもしれません。個人的な印象としては、米国債券市場のみに投資したほうがリスクが低い印象がありますが、実際のところはどうなのでしょうか…。ちょっとわからないですが、この場合も、インデックスファンド、ETFを活用するのが望ましいでしょう。
オススメは、インデックスファンドならeMAXIS Slim、ニッセイ、たわらノーロードシリーズといったところでしょうか。信託報酬等の経費は0.18%/年で設定としては横並びのようです。純資産額はニッセイが一歩リード。eMAXIS Slimはシリーズ全体で知名度をぐっと上げてきており今後の展開に注目。たわらノーロードも早い時期から低コストな投信を出してきておりブランドの認知は十分。といった感じでしょうか。どれを選んでもそれほど悪くない結果になりそうだと感じます。
ETFは1677、2511等が選択肢に上がるかもしれませんが、経費率や解約時手数料の設定的に少しもやっとする部分もあり、オススメするには少し悩ましいところです。海外ETFに目を向けると、日本も含まれてしまいますが、BND(アメリカ)とBNDX(アメリカ以外の全世界)といった組み合わせもありうるのかもしれません。
まとめ
先進国債券は、個人的には、米国債券市場への分散投資という観点で、BNDを選ぶのが良いのではないか…と思っています。しかし、このあたりは好みもあるでしょう。
先進国全体の債券市場への分散投資については、インデックスファンドのほうが無難かな…という印象です。本来であれば、コストがより低い東証上場のETFの2511にするのが良さそうなのですが、経費等の設定に一癖あるのと、指数との乖離が大きいという印象で、微妙だと感じる自分がいます。
こんな記事も書いています。
今回、オススメ商品として挙げたBNDを債券クラスとして半分、残り半分を株式クラスとしてVYMにして、債券、株式から安定的に配当を得つつ、資産運用を行うといった活用方法もあると思います。資産保有額が十分であれば、これだけで下手な運用よりもかなり安定的な自分年金が構築できるのでは…と思っています。
今回取り上げた先進国債券クラスの要不要は、意見が分かれるところだと思いますが、バンガードが全世界の債券市場に分散投資できるETFを新設する動きが見られる等、近年、債券への注目が集まっています。
今回の記事で取り上げたBNDは、バンガードというアメリカの会社が運営しています。この会社は、資産運用規模の増大に合わせて、着実にコストダウンを進めており、顧客本位の誠実な運営がなされていると感じます。このような文化が日本でも定着してくれるといいな…。そう思う今日この頃です。